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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

No.83  武川正吾・三重野卓編『公共政策の社会学――社会的現実との格闘――』
東信堂 2007年


キーワード:公共政策、政策科学、政策評価

英国では、1980年代以降のNPM(New Public Management=効率性を重視した政策管理)の下で、EBPが実践家に求められるようになった。アメリカでは従来からの説明責任の要請に加えて、マネジドケア環境がそれを強調している。

わが国のソーシャルワーク研究でも、近年、EBP: Evidence-Based Practice(根拠にもとづく実践)とか、 Best Practice(最高の実践)といったことが重要だ、という主張を見かけることが多くなってきた。

いまのところ、福祉の実践現場でEBPの必要性が強く認識されているようには見えない。だが、本書にあるように、社会福祉政策においても政策評価が、社会学などによって本格的に進められていくようになると、あるいは、行政の福祉部門管理職にNPMの発想をもつ人が増えてくるようになると、実践現場にEBPをもとめる傾向が出てくるかもしれない。

EBPは、目標達成(問題解決、問題発生予防)に効率的、あるいは効果的という方法を用いて実践する、というものである。この目標にはこの方法がよい、という評価を行うには目標達成を示す指標とその測定方法を定めなければならない。しかし、ソーシャルワーク実践は、多様な目標を含み、その目標達成を測定可能な指標で表すことが困難であることが多い。また、支援の方法もあれこれ試みるというのが普通である。

それゆえ、EBPはケアワークとは比較的なじみやすいが、ソーシャルワークとはなじみにくい。そう考えるのが一般的だろう。しかし、ソーシャルワークを含むサービス事業について、その効果を評価する、という作業は、自分たちの実践=サービスの質を点検するという専門職としての義務から言っても必要なことである。

サービス事業評価の方法については、ロッシ『プログラム評価の理論と方法――システマテックな対人サービス・政策評価の実践家ガイドーー』が勉強になる。合わせて本書、特に、終章の「政策評価と社会学」(三重野卓)もわかりやすく参考になる。序章「公共政策と社会学」(武川正吾)では、なぜこれまで社会学が「公共政策から遁走」していたのか、また、これからどう取り組むか、説得的に記述している。


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