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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

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No,54 清水哲郎「浸透し合う諸個人」(清水哲郎『医療現場に臨む哲学Ⅱ ―― ことばに与る私たちーー』 けい草書房 2000年

キーワード:自己決定、個人主義、共同決定、

かつて清水氏は、医療現場における自己決定の尊重について、(1)措置を実行しないと重大な損失が見込まれ、かつ(2)患者の人生観・価値観・信念等に照らしても、その措置の強行が重大な損失を与えることにはならないと判断される場合には、これは制限される、と提案していた。

しかし、本書ではこれを改定する。大きな事故にあい瀕死の状態にあるD氏の「死の自己選択」に対して医療側が介入して治療継続した事例をもとに、「生死を左右する場合はこの限りではない」、つまり、自己決定尊重ルールが適用されない、と主張する。

これは、現実の自己決定(現在のある時点における理解のもとづく意思)よりも、将来の認識の可能性(時間の経過とともに変わりうる意思)を優先することが妥当であるという、医療者の見込みによる判断(パターナリズム)による。

医療者が、患者もきっと将来は是認するであろうと予想して、現在の患者の自己決定に反する選択を行うのは、生きていてよかったという生の肯定という社会の価値観に医療側がコミットしているからである。

つまり、自己決定の優先で例外的に制限、ではなく、社会全体が公認している価値観にしたがって医療側が事態を判断、その範囲内で許容される自己決定を尊重するにすぎない、と清水氏は言う。

また、人生に関わる度合いや生死に関わる度合いが強ければ強いほど、患者自身のことであると同時に家族のことであり、社会成員に関わることであるから、自己決定が決定的ではなく、患者、家族、医療者の共同の決定が決定的だと述べている。

助かる見込みがあるから、今の苦痛、苦悩には耐えよ、将来はよかったと思うから、という社会の価値観にもとづく医療者に対し、この苦痛、苦悩に耐えられない、耐えたくない、死にたい、という「弱い存在」である者は、どうすればよいのだろう。緩和ケア、スピリチュアルケアを行うから、セルフヘルプグループやピアカンセリングを用意するから、あなたを一人にはしない、一緒に苦痛、苦悩に耐えるから、だから、「生きて」と、家族から医師から、ソーシャルワーカーから、同じ苦痛・苦悩を体験した人から言ってもらえれば、耐えられるだろうか。耐えなければならないのだろうか。

清水氏が想定している家族は、鎌田實さんが『あきらめない』、『がんばらない』(集英社文庫)で見せてくれているような、素敵な家族のようだ。社会福祉の現場に立つと、そうした素敵な家族のほうが例外のようにみえ、家族との共同決定は危ない、と感じさせるのだけれど。

清水氏によれば、医療では、社会が共通して「欲する」ことに患者がコミットしない場合は、患者の選択を優先させ、社会が共通して「べきでない」と考えることに患者が反する選択をする場合は共通意思を選択すればよい。

しかし、福祉では、介護から予防へという潮流にみられるように、社会のマジョリテイの意思を前提とした政府の「欲する」ことを、高齢者が選択するようプレッシャーがかけられつつある。社会が「べきでない」と考えることに患者が反する場合には、もちろん、種々多様な介入が行われる。社会福祉、特にソーシャルワークは、社会のモラルエージェントとしての機能がより強い。

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春日氏の検索をしているところ、こちらのブログにたどり着きました。色々と書籍の感想を鋭く書かれているので、拙著にも一度目を通していただきたく、コメントをさせていただきました。春日武彦氏は精神科医ですが、当方は一介の看護師。医学的視点から述べた部分はありませんが、精神科の現状を一般の方にもわかっていただきたく、活動をしております。お時間が許せば、御参考になる感想を賜れればと思います。ご協力お願いいたします。http://blog.goo.ne.jp/moth3

2006.07.15 13:20 URL | もっさん #z8Ev11P6 [ 編集 ]

もっさんへ

はい。読んでみたいと思います。

2006.07.18 22:49 URL | #- [ 編集 ]












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