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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

No47 神村栄一「認知行動療法の基礎理論――①認知療法」、菅沼憲治「認知行動療法の基礎理論――②論理療法」(こころの科学121)2005年


「こころの科学」121は、認知行動療法の特集を組んでいる。近年、認知行動療法の人気は大変なもののようで、巻頭の座談会では、その人気の秘密について、次のように言っている。

昨今のクライエントさんはインターネットを使って多くの情報収集をしており、従来の来談者中心療法や、「どうすればいいの?」「どうすればいいのか不安なんですね」という従来のリフレクテイブな応答には満足しなくなってきている。具体的な指摘や方策が求められている。使うほうからすれば、エビデンスベースドで評価研究しやすい精神療法、心理療法だから。

アメリカでは、マネジッドケア(少ない出費で質の高い処遇を提供するように計画されたヘルスケアやメンタルヘルスケアのプログラム)が、短期間で一定の成果を測定できる認知行動療法をメインストリームに押し上げたのではないか?


神村氏の「自動思考」(なんらかの否定的な感情や振る舞いが引き起こされる直前にクライエントの内部で情報処理される言語やイメージ)の3つのプロセス(「選択的注意」「推論」「認知的評価」)の説明はわかりやすい。「媒介信念」(思い込み、例:○○でないと○○と見られてしまう)や、「中核的信念」(スキーマ、例:私は能力がない)が、「自動思考」に一定方向のバイアスをもたらしているために、一貫した、うつ、不安、怒りなどの問題や症状が繰り返される、と解釈する。

自分は能力がない、人から好かれないといった「中核的信念」をもっている人は、彼の行いをほめてくれる人よりも、無視した人のほうを、選択的に注意し、やはり自分はだめなのだと認知的に評価してしまう、これをいつも繰り返しているというわけ。

介入としては、クライエントさんに対しては、抽象度のやや高いレベルで認知の偏りの傾向を自覚してもらい、セルフヘルプの能力向上(再発予防)を図る、ことになる。

たしかに、一定の不安やうつには、有効だろうし、目に見える変化を短期間で得たいと願うクライエントさんにはいいだろうと思う。だが、人はもっと自分のことをみてほしい、聞いてほしい、と願っているのではないか?

菅沼氏の「論理療法」の実践事例を読むと、この成果は持続するのか?という疑問を、やはりもってしまう。ただし、もう少し、関連論文を読んでみないとわからない。

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