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No28  才村純 『子ども虐待ソーシャルワーク ーー制度と実践への考察――』 2005年 
有斐閣

キーワード:子ども虐待、ソーシャルワーク


子ども虐待ソーシャルワークの目的は、通常のソーシャルワークと同じで「クライエントが環境によりよく適応していくことを援助すること」だ。しかし、虐待ソーシャルワークの場合、援助関係を形成するプロセスと手法が通常のソーシャルワークの場合と異なる、と著者は言う。

通常のソーシャルワークの場合(ここでは、生活課題の解決を希望してクライエントが自発的に相談に来た場合を言っている)、バイステックの7原則(クライエントの受容、非審判的態度、クライエントの自己決定など)にもとづいて、ソーシャルワーカーはクライエントとの援助関係を形成していく。

だが、子ども虐待の場合、親であるクライエントの怒りや恨み、反応などを受容し、クライエントが自己決定に至るのを待っている時間的な余裕はない。子どもの権利を最優先して、子どもを守らなければならない。

児童相談所での体験が長い津崎哲郎氏によれば、受容や共感が有害になる場合さえある。 ソーシャルワーカーは、虐待する親に妥協しない毅然たる対応を行い、対決する。ギリギリの攻防を経てはじめて、クライエントは態度を変えてくる。急に冷静になったり、気弱な態度を見せたりする。このときに、受容的な対応をとると、クライエントとの関係が変わり、話ができるようになったり、態度が豹変して依存的になったりする。

こうしたことが現実には少なくない。津崎氏は、この毅然たる態度による応対をハードアプローチ、受容的対応をソフトアプローチと呼んでいる。

著者は、乳幼児期に虐待を受けた親のなかには、自我の正常な発達が阻害されているものもおり、支配的・非支配的の範疇でしか対人関係をとらえることができない者がいる、だから、受容的な援助によってクライエントの自己洞察と自己決定を促すという、あるていどクライエントに自我が形成されていることを前提としたソフトアプローチではうまくいかないのではないか、と言う。

ハードアプローチによって、従来の行動パターンが通用しないことを体感して途方にくれたときに、ソフトアプローチで対応する、すると、クライエントは、退行して極めて強い依存性を表出するのではないか。著者はこう解釈し、この関係性を使って、親の自我が発達するよう援助していくというハードアプローチとソフトアプローチを統合した援助が、虐待ソーシャルワークとして必要であると主張している。

この主張は、信田さよ子さんの家庭内暴力に対する援助論を思い出させる。もっとも、虐待する親の虐待行動の理由・背景は1種類ではないはずだ。他の種類についても、解説を聞いてみたい。
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