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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

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No89 三井絹子 『私は人形じゃない』 千書房 2006年

キーワード:女性障害者、自立生活運動、府中闘争 

 三井さんは、さまざまな困難の乗り越えながら、人としての尊厳をもって生きる、とはどういうことかを、本書で示してくれている。

 内容もさることながら、文章もいい。短く歯切れがよくて、言葉に感情が込められている。それがストレートに伝わってくる。記憶力は抜群だ。子どものころの家の様子や日々の生活、お母さんとの会話、お父さんの様子、パートナーとの話し合いなど、情景描写が的確で、それらの場面が映像のように浮かんでくる。

重度の障害をもつなかで、これだけの質と量の文章を書き上げた。そのことに敬服する。とてつもない努力と持続力、書きたい・伝えておきたい、という強い意欲。そこに感服する。

施設入所にあたっての三井さんご自身やお母さん・ご家族の気持ち、施設での抑圧的な生活の実態、施設内での闘い、施設外の行政や同じ運動を展開する人々との闘い、在宅での暮らしなど、読んでいて、ああそうだったのだ、そこまでの気持ちや困難があったのだ、と新たに気付かされたことが多かった。これまでも、当事者の方のお話を聞いたり、書かれたものを読み、あるていど理解していたつもりだったが、そうではなかった。

印象的であったのは、三井さんの女性としての/人間としての自律性だ。パートナーと愛情を交わしていくなかでも、自分の気持ちや考えに合わないところ、譲れないところは、決して譲らない。三井さん世代の女性たちの多くは、好きな男性に合わせることを美徳として教育されてきたように思う。三井さんはそうした女性たちと違う。

男女関係や家庭生活における自律が、社会での自律の獲得につながる。個人的なことは社会的なこと。だから、三井さんは、パートナーにも譲らなかった。女性なのだから、また、障がい者なのだから、という二重の差別が今より相当強かった時代に、それに抵抗された。「人形」ではなく尊厳をもつ「人間」であることを実践された。それは、すごいことだと思う。
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