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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

No78 上野千鶴子『おひとりさまの老後』法研、2007年

キーワード;シングル、老後

うまいタイトルをつけるものだ。上野千鶴子がどういう人かほとんど知らない80歳の知人(女性)が、タイトルに惹かれ、買ったとのこと。彼女はめったに本を読まない人だから、ちょっとびっくりだ。
7月に発行して1ヶ月しないうちに7刷り。若きシングルも、中高年の1人暮らし老人予備軍も、そして、現役1人暮らし老人も、多世代の女性が、それぞれに不安を抱えているからなのだろう。

「病気になっても寝たきりになっても、その状態で生き続けられることこそ、文明の恩恵」上野さんは、以前からそのための「生き延びる思想」が必要と言っている。

現状では、高齢者を中心に「PPK思想」(ピンピンコロリが絶対に望ましい!)が根強いが、上野さんに言わせると、介護予防事業にもおなじくPPK思想がある。「筋肉トレーニングをするのは評判が悪く、結果はおもわしくなかったようだが、あたりまえだ。介護のない状態が『自立』で、保険はつかわなければ使わないほどよい、という考え方だ。政府がこんな考えかたをもっているところで、介護のされ方なんて思想が育つわけがない。」

「ケアの仕方についてのノウハウのあれこれはあるが、ケアのされかたを誰も教えてくれないのもへんなものだ」ということで、上野さんは「介護される側の心得10か条」なるものを提唱している。

これらについては、本当にその通り。ただ、扱われておらず、残念なことがある。
いま、現役の1人暮らし老人が一番不安になっているのは、「ボケ」「認知症」になることだ。MCI(軽度認知障害)、軽度認知症であっても、1人暮らしはある時期まではできるけれど、進行とともにむずかしくなる(進行を止める薬の開発まであと5,6年、あるいは10年はかかるとか。)

ある時期までの生活を支えるには、任意後見制度や地域福祉権利擁護事業をはじめとする福祉のサービスはもちろん、民生委員、福祉推進員といったボランティアや、近隣の人々の手助け、見守りが不可欠である。

そうした地域の信頼関係(ヒューマンキャピタル)をいかに構築するか、地域でのさまざまな取り組みを知りたい。
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番外 No5 アメリカにおけるソーシャルワークの行方(1) 

マネジドケアが進むなかで、ソーシャルワーク実践家にも、研究者にも、ますますEBP(Evidence-Based Practice)が求められているようです。大学も、調査研究費をゲットし、エビデンス(根拠)基盤の実践ガイドライン作成にやっきとなっているところが少なくないとのこと。

NASW(アメリカソーシャルワーカー協会)の会長も、ソーシャルワークが効果的であることをデモンストレーションすること/実証的研究をすること、を会員に求めて、はっぱをかけているそうです。

ソーシャルワークは公的費用にもとづく社会的活動ですから、効果的であるかどうか、説明責任を果たすことが求められるのは、今の時代、当然のことかもしれません(効果的であることよりも、適切に行われたか、利用者はどのように評価したか、といったほうが私には、より大切なことと思われますが)。

しかし、メンタルヘルス領域など、カウンセリング支援の効果測定はできるかもしれませんが、カウンセリングだけでなく日常生活におけるサービス・資源の結合や、インフォーマルネットワークづくりのお手伝い、といった種々の活動を含むソーシャルワーク実践について、効果測定はできるのでしょうか?また、効果とは?

公的機関のソーシャルワーカーについては脱専門職化が進み、非営利や営利組織におけるソーシャルワーカーについては、より高度な専門性が追求される傾向にある、とのこと。効果測定を行い、EBPを求められているのは、もっぱら、後者の非営利/営利組織のスペシャリストワーカーによる実践、特にメンタルヘルス領域における実践なのでしょうか。

でも、それだけがソーシャルワークではないはずです。