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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

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No51 B.H.スタム、小西聖子他訳『二次的外傷性ストレスーー臨床家・ 研究者・教育者のためのセルフケアの問題』誠信書房、2003年


キーワード:二次的外傷性ストレス(STSD)、共感疲労、代理トラウマ、バーンアウト、逆転移、セルフケア


二次的外傷性ストレス、共感疲労、代理トラウマなど、いずれもトラウマを負った人々の回復を援助する過程で、セラピストやワーカーらの援助者が、相手の外傷性の体験にさらされた結果として経験する苦痛を表わす用語である。バーンアウトとも関連する用語である。

訳者の小西さんによると、PTSD概念を拡張的に捉え、それに対応した1つの精神障害として代理トラウマや二次的外傷性ストレスを捉えるという視点は近年弱まり、ケア提供者がケアを行うことによって生じる不可避のストレス反応を心理反応として扱っていくという視点になってきているそうである。

いずれにしても、これを放置しておけば、トラウマを負った人が援助者のケアに回るという「二重関係」になり、倫理違反であること、また、さまざま形でトラウマを負ったクライエントに悪影響を及ぼす(その意味でも倫理違反)ので、これを予防したり、緩和措置をとる必要があることを、いろいろな人が本書で論じている。

トラウマセラピーに携わる臨床心理士や精神科医には、すでに馴染み深い事象であり、対策は取られているのだろうが、福祉領域ではまださほど認知されていないのではないか。児童虐待や高齢者虐待などへの対応において、ソーシャルワーカーやケアマネジャーらがトラウマサバイバーと出会うことはまれではない。福祉領域の援助職がかれらの回復過程を直接援助することはあまりないと思われるが、STSD、共感疲労、あるいは、ケア提供による不可避のストレス反応が自然な現象として生じることを認識しておいてよいだろう。

本書最後の論文では、STSDへの対策を行うにあたって、それを導入することが政策的、運営管理的にどのように得策であるか、ということをいくつかの点について検討している。新しいプログラムの導入や、その効果評価を実施する際の、プログラム評価方法として参考になる。
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No50 天道荒太 『家族狩り 第一部 幻世の祈り』、『第二部 遭難者の夢』、『第三部 贈られた手』、『第四部 巡礼たち』、『第五部 まだ遠い光』新潮文庫 2004年


家族相談、児童相談センター、児童福祉司、心理職員、児童虐待、、、、。第一部の冒頭から福祉関係者に馴染み深い言葉が並んでいる。主人公の一人である心理職員氷崎遊子を初め、大人たちの描写にはややリアリテイを欠く感じがするけれども、子どもたちの描写はとても納得できた。

福祉従事者、心理職、教師、刑事など、ヒューマンサービスに従事する者が抱えてしまう葛藤をうまく取り上げていると思う。

心理職員が主人公で、ソーシャルワーカーである児童福祉司が端役で「官僚的」人物としてしか描かれていないのはやむをえないのか?
No49 福山和女 編著 『ソーシャルワークのスーパービジョン-------人の理解の探求--------』
ミネルヴァ書房、2005年

キーワード:ソーシャルワーク、スーパービジョン、コンサルテーション、心理社会的アプローチ、家族療法アプローチ


日本には、アメリカのように、夫婦関係、親子関係、家族関係に関するカウンセリングを行う家族福祉機関や、ソーシャルワーカーが関与するメンタルヘルスの相談機関が、これまで少なかった。それゆえ、心理社会的アプローチや家族療法アプローチにもとづく援助実践に対するスーパービジョンに関する文献は乏しかった。

日本の多くのソーシャルワーカーに求められてきたのは、生活における基礎的なニーズを充足させるサービス資源の調整、つまり、ケアマネジメントを中心としたソーシャルワーク実践であった。もちろん、サービス資源の調整だけではすまない事例、面接継続が必要と思われる事例も多くあるが、それを望まない事例、それを実施できない組織構造というものがあった。

しかし、子育てや子どもの「不登校」、「引きこもり」、非行、家庭内暴力などで悩む親たち、いっときでも早く相談し、援助を受けたいと思う親たちは大勢いる。高齢者福祉の分野でも、家族関係を理解し調整をしなければ、高齢者と介護者の生活を護れない、という場面が少なからずある。こうした親たちや家族に出会い、対応に努力しているソーシャルワーカーたちにとって、本書は大変勉強になるのではないか。スーパービジョンを通して、クライエント/利用者の理解、クライエント/利用者とワーカーの関係性の意味や関係性の展開技法、面接過程の進め方など、多くのことを学ぶことができる。

社会福祉士の養成教育は、サービス資源の結合というケアマネジメントを中心とした教育にならざるを得ないが、ソーシャルワーク実践の現場では、それではすまない事例が少なくない。本書のような質の高いスーパービジョンを実際に受ける機会をふやす努力が必要だ。


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