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福祉関連の本の紹介と、ちょっとした福祉にかんする話題を提供するコーナーです

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No39 木原孝久 『住民流福祉の発見』 筒井書房、2001年

キーワード:地域福祉、住民、ボランティア、助け合い

          
              2年くらい前だったか、朝日新聞の社説に、木原孝久さんの考案した地域福祉マップづくりという、「住民の間で自然発生的に生まれた要援護者支援のネットワーク探し」が、ある地域で広がっている、ということが触れられていた。高齢社会は、住民の助け合いがなければ暮らしにくい、という話のなかでだったと思う。

その木原さんのアイデアを満載したのが本書である。「福祉の主役は当事者だ」という主張を一貫させていて、「住民が主体の地域福祉」という認識を転換させてくれる。

「当事者宅を近隣福祉センターに」「『助けられ上手講座』を全住民に」「家庭の社会化」「ヘルパーセラピー」「ボランティアも見返りを」などなど、「なるほど」と思わされる発想や活動案がいろいろある。読んでいて退職したらやってみようかと思ったのは、自宅をオープンにした「シルバー・マージャンルーム」。マージャンは頭脳も使うし、何よりも人との交流が促進されボケ予防になる。

NHKの「ご近所の困りごと」(?)とかいう番組でも、地域住民によるさまざまな助け合いや共同活動が紹介されている。民生委員協議会、社会福祉協議会、地区社協、在宅介護支援センター、地域の種々の福祉施設、今年4月からの地域包括支援センターなど地域福祉に携わる組織や人々は、こうした番組や本書から活動のヒントをもっと得たらどうだろう。


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No38  鹿嶋 敬 『雇用破壊――非生社員という生き方――』 岩波書店 2005年

キーワード:非生社員、フリーター、派遣社員、パート


本書を読んでいると、気が重くなってくる。グローバリゼーションだ、構造改革だ、という掛け声のなかで、企業が正社員を極力採用しなくなってきた。「左右、どっちを向いても非生社員時代」になってきたのだ。

しかも、ヨーロッパやオーストラリアのように同一労働同一賃金ではなく、同一労働大幅格差賃金。事務の派遣社員の時給が1500円だからと言って喜んではいけない。正社員の時給は換算すれば3000円以上なのだから。

収入の低さに加えて、有期雇用のもたらす不安、自信や自尊感情の喪失、フリーターから抜け出せない憂鬱、失望感、「流されて、いつか、中高年」。こんななかで、結婚→子育ては無理な話。少子社会もやむなしだ。

低賃金で長時間働く正社員も多く、いつリストラされるかもわからない。正社員は急しすぎ、非生社員は安すぎ。何を、どこから変えていけばいいのか、変えていけるのか。

フリーターや派遣社員など、非正社員は本人が好きでやっているのだから文句を言うな、それがいやなら正社員になればいい、というのが、いかにお門違いの意見なのか、本書はデータを引用しながら説明している。
No37 芳賀学 「匿名的で、かつ『親密』なかかわりーー1.5次関係としての自己啓発セミナーーー」(伊藤雅之他 編著 『スピリチュアリティの社会学――現代世界の宗教性の探求――』 世界思想社 2004年)

キーワード:1.5次関係、コミュニケーション、自己確認、インターネット


インターネットを使って見知らぬ人とおしゃべりやゲームを楽しみ、ブログで書いた日記に感想やコメントをもらう。これらはエンターテイメントであるとともに、癒しや孤独感の緩和、自己肯定感や自己承認の機会を与えてくれる。

家を、いや、自分の部屋を一歩も出なくても、人と深いコミュニケーションができる時代、会社の同僚や友人、あるいは家族と情緒的な関係を作れなくても、インターネットを通した関係でそれを補完、代替することができる時代。人間関係のありようが変わっていく。

芳賀さんによると、自己啓発セミナーやコンサート会場、インターネットなどのメデイアによるコミュニケーションは、現代のアイデンティティを確認する濃厚なコミュニケーションの場である。

そこでのコミュニケーションは、従来の社会学理論で言ってきた一次関係(家族・友人・恋人)でも、二次関係(公共空間における市民同士としての関係)でもなく、1.5次関係であって、限定的で役割的関係(二次関係の性格)でありながら、情緒的で無限定的なかかわり(一次関係の性格)をもつ関係である。

そのモノローグ的なコミュニケーションを通して、匿名的な他者との間に親密なかかわりが展開され、そのなかである種の自己確認が行われる。これが求められる背景には、かかわりの深くない大多数の他者の抱く自分のイメージこそが重要という現代社会の特性がある。

現代は、「アイデンティティを確認する濃厚なコミュニケーションの場が、一次関係の枠を飛び越えて新しいコミュニケーション空間へ急激に流出している」のだ。ただし、直接触れ合う一次関係の重要性が消失したわけではないだろう。

ひとり暮らしの高齢者たちが、セールスマンとの似非1.5次関係によってだまされることのないように、地域の人々との真の1.5次関係によって安心感や安全感をもつことができるように、どういう仕掛けをつくればよいだろう。


新年、明けましておめでとうございます。

昨年、このグロクをお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

今年も、この本のここが興味深かった、というご報告を少しずつやっていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。
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